調達セッションコーディネーター5|組織の壁を超えるリーダーシップとは?
サプライヤー評価が上がるかどうかはバイヤーの責任であり、サプライヤー評価結果をある程度バイヤー評価につなげているということでした。これは特徴的な取組みだと思いました。
2014 ものづくり総合大会(2014年2月19日~21日)の開催後におこなったインタビューです。
組織の壁を超えるリーダーシップとは?
安部
そもそも、調達組織が日本になくてもいいじゃないかという動きもでてきているようです。また、サプライヤーも含め周囲を巻き込めると、そこに宝の山が隠れているということもあるようです。
印象として、調達の組織規模がどんどん大きくなっている傾向があるように思いますが、役割が大きくなっているからなのでしょうか?
加賀美
組織規模については、必ずしも大きくなってきているとはまだ言えないと思います。
けれども、原価に対して外部支払い費用が大きくなってきているので、その意味で調達の組織が大きくなっている可能性は大いにあると思います。
調達部門が日本になくてもよい、という動きは、まだまだ大きなものにはなっていないでしょう。
安部
その印象を受けたのは、やはり海外調達ですとか、海外でのコントロール範囲が広がり、物理的にも機能的にも業務範囲が多岐にわたってきている。
人も従来よりは増えているのだろうな、ということが理由です。
加賀美
業界や海外展開の度合いによっても異なると思います。
具体的には別途調査が必要ですね。
安部
組織的な改革の壁や抵抗は、各社どのように乗り越えてきたのでしょう?
決して社内的地位が高くなかった調達部署が、いろんな部署を先導してやっていく立場になった時に、もちろん軋轢(あつれき)があったということを、参加者の方々も大きなポイントとして感じていらっしゃいます。
いま、まさに改革を進めようとしているのだけど、なかなかうまくいかない。
そんな壁があったときに、乗り越えてきた工夫についての言及はありましたか?
加賀美
それについては、富士ゼロックスさんもヤマハ発動機さんもかなり強いリーダシップを発揮されて、改革を推進されてきたというのが、私の正直な印象です。
例えば、富士ゼロックスさんでは非常にオープンな評価をもとに、サプライヤーパートナーシップの評価をされています。
サプライヤー評価が上がるかどうかはバイヤーの責任であり、サプライヤー評価結果をある程度バイヤー評価につなげているということでした。
これは特徴的な取組みだと思いました。
安部
調達マンとサプライヤーの評価が連動しているのですね?
加賀美
今回はそこがメインの話ではなかったのですけど、非常に特徴的な事例だと思います。
一体感を持ってやっていく形になりますね。
うまく運営しないと癒着のリスクもあると思います。
そこは別途きちん工夫されている仕組みを持っていて、評価には直接かかわった人の主観がはいりづらくになっているのだと思います。
そのような仕掛けをされているところは、興味深いと思います。
ヤマハ発動機さんは、原価革新部隊を一つにまとめたというところは、徹底していますね。
期間も、10年ぐらい試行錯誤されながらやっている。
でも方向性は軸がブレずに、ずっとその方向に向かってやってきている。
「私たちはこの方向だ」と、突き詰めた考えを持っているところが、すごいなと思います。
それもリーダシップだと思います。