横須賀製鉄所――造船王国・日本の源流
3.YOKOSUKA軍港めぐりクルーズ--軍港横須賀のいまを知る
019>自衛隊載新鋭艦を見る
東京湾に出て左に舵を切る。右に横須賀市夏島の住友重工業の横須賀工場、日産追浜工場が見えてくる。ここから先は、海上自衛隊の基地で、船越地区は、自衛隊の総司令部、つまり全海上自衛隊を指揮する本部があるところだ。海洋観測船「5106しょうなん」が停泊していた。
海洋観測船とは、潜水艦などが座礁せずに活動できるように、そして対潜戦に影響を及ぼす海底の地形や底質、磁気雑音などの自然環境を観測し、データを収集することを主任務とする船である。しばらく進むと、港の中央に廃船になった潜水艦が係留されている。訓練用に使われるのだろう。奥に掃海母艦「463うらが」が見える。
掃海母艦とは、機雷の排除を任務とする掃海艇などの移動基地として、燃料や物資の補給などを行う軍艦だ。機雷の排除では世界最強の戦艦である。ここから吾妻島を切り離して作った新井掘割水路に入る。水路では、自衛隊員が訓練を行っていた。
水路を抜けると自衛隊横須賀地方総監部の吉倉桟橋である。この日は、護衛艦「152やまぎり」、「107いかづち」、「423ときわ」、「174きりしま」などが停泊していた。ヴェルニー公園から見える岸壁がこの岸壁だ。
クルーズの主要時間はおよそ45分。目の前に出てくるめったに見られない光景に目を奪われていると、時間はあっという間に過ぎてしまう。解説も分かりやすく、軍港のいまが手に取るようにわかる。日常的には目にすることのない米軍と自衛隊の艦船を間近に見るクルーズ、一見の価値がある。

梶文彦氏執筆による、コラム「ものづくり 日本の心」です。
梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています。
写真撮影:谷口弘幸