横須賀製鉄所――造船王国・日本の源流
2.ヴェルニー公園――軍港横須賀を見渡す歴史の公園
016>海上自衛隊横須賀基地――まじかに軍艦が
平成の時代に、はじめて横須賀港を訪れた若い人たちの正直な感想は「えっ、こんな近くで、軍艦が見られていいの?」。
軍艦や兵器と言えば各国をあげて開発競争が繰り広げられているトップクラスの機密の塊といってもいい。敵に手の内を知られれば、対策が講じられて、兵器は無力化する。そんな軍艦をこんな近くで簡単に誰でも見られて大丈夫なのか・・・と気になるのだが、外から見る程度では、なんの問題もないのだろう。そんな簡単に中身が分かるようなつくりでは兵器として失格でもある。
横須賀港の魅力は、運が良ければ、そうした最新鋭の軍艦がまじかに見られるところにある。海上自衛隊が保有する軍艦は、大湊、横須賀、舞鶴、呉、佐世保のどこかに所属している。横須賀総監部には、ヘリ空母の「いずも」や南極観測船「しらせ」をはじめ多くの軍艦が所属しているので、ここにはいつも何隻かが停泊している。
ここに所属していない戦艦が、訓練等で寄港することもある。何度か訪れただけでも、ヘリ空母の「いずも183」「ひゅうが181」、さらには補給艦の「おうみ426」、護衛艦「すすなみ114」、イージス艦の「あたご117」などが湾内に停泊していた。
戦争は反対、と思う一方で、技術の粋を集めた戦艦の究極の機能美に触れると、単純に、その姿に感動し、凄いなあと思う。いかにも頑丈で重そうな鉄の塊が海に浮くのも驚きならば、大きな塊が動く姿もまた壮観である。この感覚は、一度、目の前に見てみないと分からないかもしれない。

梶文彦氏執筆による、コラム「ものづくり 日本の心」です。
梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています。
写真撮影:谷口弘幸