横須賀製鉄所――造船王国・日本の源流
2.ヴェルニー公園――軍港横須賀を見渡す歴史の公園
010>ヴェルニー記念館--米海軍と自衛隊が同居する港
JR横須賀線「横須賀」駅の改札口を出ると、すぐ先はヴェルニー公園で、ヴェルニー記念館がある。前に青々とした港が広がる。港は、右奥から正面(東)、左(北)に広がり、対岸の米軍基地の岸壁には、修理中の潜水艦が係留されたりしている。
軍隊に縁がない一般人にとって、潜水艦を目の当たりにするのは新鮮な驚きだ。港の北側は海上自衛隊の基地である。左の方を見れば、何隻かの戦艦が停泊しているはずだ。全長248メートル、話題のヘリ空母「いずも」もこの横須賀港所属なので、運が良ければこうした大きな戦艦がいくつか見られるはずである。
10月には、オレンジ色が鮮やかな南極観測船「しらせ」がたまたま着岸していた。南極観測に出かける前の器材の積み込み作業に忙しいようだった。「しらせ」は海上自衛隊に所属し、母港が横須賀港なのだ。いつも見られるわけではないが、運が良ければこういう場面に出会える。その先にはネイビーカラーの戦艦が何隻か停泊している。横須賀港は自衛隊と米海軍が同居する軍港なのである。
目の前に展開する非日常的な光景に最初は戸惑うが、マスコミでも話題になるイージス艦など高性能な戦艦を近くで見られるオープンさも、いまの横須賀や海上自衛隊を象徴する光景である。

梶文彦氏執筆による、コラム「ものづくり 日本の心」です。
梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています。
写真撮影:谷口弘幸