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ものづくり 日本の心

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。
発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

「日本のものづくりは、世界の財産である」(92)|第八章 ものづくりの将来性と潜在力 〜高度なものづくりを活かすマネジメント〜

ガラパゴス化していると言われる背景の2つ目は、新製品開発、イノベーションです。
【ガラパゴス化する日本のものづくり】②日本の産業界からイノベーションが生まれずに海外に先を越されている
かつて、日本の産業界は、世界の市場を沸かせたイノベーションを矢継ぎ早に興してきた国でした。
歴史的に見れば、カメラ、時計、トランジストラジオ、ビデオ、ウォークマン、カセットテープ、家電製品、ファミコン・ゲーム、デジタルカメラ、最近ではハイブリッド車……など、さまざまな製品で世界のイノベーションをリードしてきました。
それが、ここしばらく、アップルをはじめとし他企業に後塵を拝しています。

なぜ、こんな状態になってしまったのでしょうか。
日本の製造業の経営者に、当面の課題は何ですかと聞くと、決まって、「技術開発」が高い優先順位であげられます。そして、イノベーションには最先端の研究開発成果が必要で、それがないために自社からイノベーションにつながるような新製品が生まれないという意見が言われます。
しかし、この発想は、バブル時代くらいまでの、日本の製造業が研究開発力に弱く、欧米企業から特許を借りて商品化していた重厚長大型の産業構造の時代のもので、マネジメントの巧拙を問題にしないような圧倒的なイノベーションを求める、経営者の願望を表すものでしょう。
アップルに代表されるようなイノベーションにつながる発想ではありません。技術開発でイノベーションを起こそうという考えが消費財の商品開発では大きな誤解なのです。

 第七章のノーベル賞の受賞者数でみたように、科学技術力・研究開発力では日本と中国や韓国の差は歴然です。そうした企業に商品開発力、市場占拠率で後塵を拝している状態を見れば、研究開発成果がないから市場でイノベーションをおこせない、という理由が成り立たないことは明らかです。

例えば、こんな話があります。
いま、タブレットPCは教育の場などにも導入されるようになって、大きな市場を獲得しています。この分野を切り開いたのはアップル社ですが、実は、タブレットPCが商品として販売される数年前、ある日本の企業の技術部門で、キーボードをなくした液晶のPCが試作されていたそうです。まさにタブレットPCです。
「これは面白い」ということで技術部門から、商品開発の提案がなされたそうですが、トップを交えた商品開発会議では、理由は不明ですが、新製品としてゴーは出されなかったそうです。数年後、アップルからiPadが発売され、ヒット商品として市場で飛ぶように売れていくのを横目で見ながら、技術者たちはやるせない気持ちになったといいます。

提案を受けたマネジメント層は、こうしたものへの需要があるという予測ができなかったのでしょうか。リスクを恐れたのでしょうか。もしそうだとすれば、経営者としては資格ですが、彼らを評価する機能が、内部にあるのでしょうか?
イノベーションを興すような新製品が日本の企業から提案されない、ものづくりがガラパゴス化している・・・と言われる実体の一つはこういうことでもあるのです。
全てがこの調子で、新製品が生まれなくなっているというわけではないと思います。しかし、この話しを聞く限り、問題はものづくりではなく、高度なものづくりの技術を活かせないマネジメント力にもあるのではないかと思います。

梶文彦 写真

梶文彦氏執筆による、コラム「ものづくり 日本の心」です。

梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています。

写真撮影:谷口弘幸


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