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ものづくり 日本の心

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。
発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

「日本のものづくりは、世界の財産である」(49)|第四章 律令時代を支えた計数管理 〜精度の高い距離算出〜

図版原稿-4.018

信濃以外の各地域も、近国、中国、遠国と分けられ、以下のように規定されています。

・近国:畿内(山城、大和、河内、和泉、摂津)、東海道(伊賀、伊勢、志摩、尾張、参河)
・中国:東海道(遠江、駿河、伊豆、甲斐)、・・・
・遠国:東海道(相模、武蔵、安房、上総、下総、常陸)・・・・

以下、北は、出羽、陸奥~南は、大隅・薩摩まで・・・

それぞれの距離もしっかり確認されており、京からの距離を一里=五四〇メートルで、メートルになおしてみると、以下のようになります。ちなみに(  )内は、現在のJR路線の京都からの距離です。

・近国:越前315里=170㎞(福井148㎞)、安芸490里=264㎞(東広島?348㎞)
・中国:信濃560里=302㎞(塩尻322㎞)、伊予560里=302㎞(西条353㎞)
・遠国:伊豆770里=415㎞(三島393㎞)、安房1190里=642㎞(鴨川646㎞)、常陸1575里=850㎞(日立801㎞)、佐渡1325里、隠岐901里、土佐1225里

JRの線路と比較してみると、当時の七道と現在の鉄道路線との差や距離の丸め、誤差などを前提とすれば、当時の距離の算出はそれなりの精度といっていいでしょう。

直線が多い鉄道と比べて、道路は曲がりくねっていたはずで、距離はもっと長くなるのではないか……というご意見が出そうですが、じつはそうでもないようです。

古代道路(鎌倉時代以前の道路)について研究をしている北海道教育大学教授の中村太一は、「古代道路の第一の特徴は、とにもかくにも「まっすぐな」ことである。場所によっては一〇キロメートルにわたってまっすぐな区間が続いていることもある。駅路は、このような区間を組み合わせた道路として、全国的に作られている」と書いています。

なので、鉄道路線のように比較的カーブの少ない道が作られていたと考えられます。

こう紹介してくると、どうしても延喜式に記載されている距離の測定精度にこだわりそうになりますが、いまから1100年以上も前の話です。ここでは制度のこだわらずに、大雑把にとらえておく方がいいでしょう。

重要なのは、精度ではなく、距離を計測し、その数値に基づいて行政を行うという、現代と全く同じやり方で、行政業務が管理されていたということです。

逆に言えば、二一世紀になって、当時と比べて、何が変化したかと言えば、ただ計測技術は進んだだけ、と言えるかもしれません。基本的なやり方は昔から全く進歩していないのです。

梶文彦 写真

梶文彦氏執筆による、コラム「ものづくり 日本の心」です。

梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています。

写真撮影:谷口弘幸


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