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ものづくり 日本の心

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。
発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

梶文彦の「ものづくり 日本の心」(18)|第一章「勤勉」は近代産業とともにやってきた 〜スイスの時計職人の働き方〜

明治の初めに来日したお雇い外国人のなかには、このような怠惰で気ままな働き方は必ずしも日本だけではなかったという人もいます。

スイスの遣日使節団長として一八六三年に来日したエメ・アンベール・ドロズは、スイスの時計生産者組合の会長を務めた人で、来日中に集めた資料を基に『幕末日本図絵上下』(雄松堂出版)を書いています。その中にこんな文章があります。

「私は幼年時代の終わりころに、・・・概して人々は生活のできる範囲で働き、生活を楽しむためにのみ生きてきたのを見ている。労働それ自体が、もっと純粋で激しい情熱をかきたてる楽しみとなっていた。そこで、職人は自分の作るものに情熱を傾けた。彼らにはその仕事にどれくらい日数を要したかは問題ではない。作品が、かなり満足ができる程度に完成したときに、やっとその仕事から解放されるのである。疲れがはなはだしくなると仕事場を出て、

・・・どこか楽しいところへ友人と出かけて行って、勝手気儘に休息をとるのであった」。

 アンベールが近くで見てきたスイスの時計職人の姿です。日本の職人の仕事ぶりを見て、思わず故郷の先人たちを思い出したというのです。

 いまでも、スイス人技能者は技能五輪で上位に名を連ねてきますが、かつては、日本人とスイス人がメダル獲得の常連で、第二次大戦後もしばらくは、熟達した技能者と言えば、第一にスイスの職人があげられたものでした。

ドロズは、スイスの職人の情熱を傾けた働き方、つまり、質の高い、中身の濃い働き方があり、それは日本の職人にも同じように見られたと書いています。

工場が近代化されて大量生産が求められるようになると、チームで作業が行われるようになります。その結果として始業時間や終業時間が明確に決められて一斉に時間管理が行われます。

機械化されてペースが決められ、集団で働くことが当たり前になる近代化以前の人たちは、そうした管理された労働に、慣れていなかったということでしょう。

梶文彦 写真

梶文彦氏執筆による、コラム「ものづくり 日本の心」です。

梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています。

写真撮影:谷口弘幸


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