【講演者インタビュー】2月23日 シーメンス 島田氏
2018ものづくり総合大会にてご講演いただく、シーメンス 専務執行役員 島田 太郎氏に、日本能率協会の森宮と小高がお話をお伺いしました。
(以下敬称略)
「モノからコトへ」は違和感を覚えます。
JMA
島田さんはかつて飛行機の設計などを手掛けた経歴もありますが、今と大きく異なりますね。
島田
個人的には、それほど大きな違いは無いと思います。
「ものづくりの根幹は同じ」と考えないと、自分の幅を狭めてしまいます。
JMA
なるほど。
ところで、最近、日本の製造業で「モノからコトへ」という言葉がキーワードになっていますが。
島田
個人的には、違和感を覚えます。
JMA
と申しますと?
島田
自分たちの側から見た、「積み上げ」の発想に感じます。
あくまで外から、全体を俯瞰した中で、自社の強みがどこにあるのか、それらをどのように活用していくのか、この議論が無いといけません。
JMA
なるほど。
島田
これは「インダストリー4.0」においても同じです。
全体俯瞰と自社の位置がどこにあるのか、を把握する必要があります。
「レファレンス・アーキテクチャ・モデル・インダストリ4.0(RAMI4.0)」という積層型の3次元モデルがあります。
JMA
どのようなモデルでしょうか?
島田
「Life Cycle&Value Stream」と「Hierarchy Stream」で平面を作り、そこに縦軸として「Layers」を配置します。
平面には、ProductsやField Deviceなどがあります。
このモデルの優れているところは、「可視化」ができることです。
JMA
具体的には?
島田
たとえば、このモデルの一か所を差して「ここの議論をしよう」というだけで、全員が「何を話すべきか」を共有できます。
また、「IECのスペック」として空いているところを見つけられればスペックを作れます。
JMA
スペックを作る、ということは「総取り」ができますね。
島田
確かに「総取り」は可能です。
ですが、ドイツ、少なくともシーメンスでは、プラットフォームを公開し、そこに参画を呼び掛ける方を選択します。
ルール決めのフロンティアには成りたがりますが、必要以上に囲いません。
JMA
なぜ、ドイツではそうなのでしょうか?
島田
私なりの考えですが、「哲学」に通じるかもしれません。
現状に満足することがなく、また、常に考え続けている、そんなことが影響しているかもしれません。
JMA
それでスタンダードを取る、と。
島田
「スタンダード」には、「デファクト」と「デジュール」があります。
ご存知の通り、「デファクト」とは、市場競争の結果として勝ち残り、基準となったものです。
一方、「でジュール」は「話し合い」です。
ドイツの場合、マーケットでは米中に勝つことができません。
その為、ヨーロッパを巻き込みます。
JMA
となると日本は?
島田
日本のGDPを考えると、「デファクト」を取りに行くのは難しいでしょうね。
~次回に続く~