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ものづくり 日本の心

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。
発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

梶文彦の「ものづくり 日本の心」(15)|第一章「勤勉」は近代産業とともにやってきた 〜非能率的習性〜


タネ明かしをすれば、これも時代はさかのぼり、明治維新から明治時代中頃にかけてのことです。

産業だけでなく、司法・立法・行政の各方面で急速な近代化を進める方針を打ち出した政府は、明治維新直後から、指導を仰ぐために大量のお雇い外国人を採用しました。

雇われてきた外国人たちは、日本にやってきて、各職場で指導を始めるのですが、一緒に働く日本人の仕事ぶりにあきれ、発したことばが前記のことばなのです。「勤勉」とはほど遠い姿です。

日本人の「勤勉」というイメージは、戦後の高度成長期以後、日本人ビジネスマンの勤務時間の長さ、欠勤率の低さ、休暇取得率の低さ、残業の多さ、組織を優先させて自己を犠牲にして集団や企業に奉仕する姿などからさかんに言われました。

このイメージの定着には、滅私奉公というかつての封建時代に言われた主従関係や、主君への忠に命さえ捨てて殉じる「武士道」が、会社と社員の関係に重ねあわせてみられたことも影響しているかもしれません。

しかし、お雇い外国人のことばに見るように、幕末から明治にかけての時代には、日本人は決して勤勉だったわけではなかったようです。

明治六年に来日し、海軍兵学寮の英学教師を歴任後、東京帝国大学文科大学教師となったバジル・ホール・チェンバレンは著書『日本事物誌』(平凡社東洋文庫)で、日本でしばらく住んだ外国人たちの意見を総合すればといって、

・貸し方の側(長所)として清潔さ、親切さ、洗練された芸術的趣味を、
・借り方の側(短所)として、国家的虚栄心、非能率的習性、抽象概念を理解する能力の欠如、

などをあげています。

ご紹介した、「彼らは、日常の糧を得るのに直接必要な仕事をあまり文句も言わずに果たしている。しかし彼の努力はそこで止まる・・・」、言われた以上にしようとしないという意見は、一八七二年法律顧問としてフランスから来日し、以後七六年までの四年間、民法草案の策定や司法省法学校で法学教育に力をそそいだジョルジュ・ブスケが記した日本の作業者、職人の仕事ぶりです(『日本見聞記』みすず書房)。

海外から来日したお雇い外国人たちは日本の各地で専門家として指導に当たり、たくさんの記録を残しています。それらの中に、官庁や学校、民間企業などでの職人や作業者、官僚などの仕事ぶりを紹介したものがありますが、前掲のチェンバレンが書いたように、多く人が日本人の「怠惰な仕事ぶり」を嘆いているのです。

 「忙しそうであるが、適度に働く」(『大君の都』上・中・下、岩波文庫)と書いたのはイギリスの初代駐日公使だったラザフォード・オールコックです。

同様に「給料日は各人ごとに別の日にしなければならない。・・・有り金を全部使い果たすまで戻ってこないからだ」の文章も、一八六〇年にドイツからオイレンブルク遠征隊に参加して来日した画家のアルベルト・ベルクが書いた文章です(『オイレンブルク日本遠征記』雄松堂書店・異国叢書)。

 こうした、働かない日本人労働者については、ほかにも多くの外国人が書いています。これだけ多くの人が書いているということは、よほど怠惰さが目立ったのでしょう。

梶文彦 写真

梶文彦氏執筆による、コラム「ものづくり 日本の心」です。

梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています。

写真撮影:谷口弘幸


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