人材育成セッションコーディネータインタビューその3| 発表した3社の共通項とは?
2016ものづくり総合大会の人材育成セッションコーディネータ 日本能率協会コンサルティング シニア・コンサルタントの小澤勇夫氏にお話を伺いました。(以下敬称略)
発表した3社の共通項とは?
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2016ものづくり総合大会 人材育成セッションのコーディネーターを務めていただいた感想をお聞きしたいと思います。
今回はブラザー工業、カネカ、スリーエムジャパンという会社の大きさも成り立ちも全く違う中、3社3様のお話が出ました。
その中に共通項はありましたでしょうか。
小澤
「思想とか理念に基づいて考えているかどうか」というのが共通する部分で、重要になってくるところなのでしょうね。そこから人の話題へ入っていきます。
例えば、ブラザー工業ならグローバル憲章のような企業理念を明確にしています。
あるいはカネカは企業理念から人材のあり方を考える人材思想体系を作っています。
やはりこの人材育成に関して言うと、単純に人材だけに焦点を当てるのではなく、根本的にどういう会社になっていきたいかを十分に考えているわけです。
スリーエムジャパンの場合、その観点がかなり違っていて、もう少し分かりやすくなっています。要するにキーはイノベーションです。
そこで社是とは全く違うベクトルで、イノベーションのグローバルナンバーワンを目標として持っています。
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逆にやはり3社3様でも、全く相容れない部分や非常に特徴的な部分があったと思います。
共通項と近い部分でありながら、裏返しでもある部分はどこだと考えますか。
小澤
日本の企業は組織やマネジメント、要するに人と組織、マネジメントを対にして話したとき、人の話をしてもマネジメントの話をあまりしません。
カネカやブラザー工業でも、いわゆるリーダークラス、経営幹部に近いところの能力向上をどのようにしているのか、質問がありました。
ここは日系企業が弱い部分ではないでしょうか。
各社も経営トップに近い執行役員や部長以上についての育成は考えているようですが、それは制度や仕組みにはなっていません。
だから、「課題は50代前半の管理職が育っていないことではないですか」と問うと、「その通りです」という答えが講演企業からも返答がありました。
多分、日本の企業はマネジメントする人材を育てる点が弱いのではないかと思います。
逆に現場で働く人を育てるのが非常に得意なように見えますね。
そこがスリーエムジャパンと違うところではないですか。
スリーエムジャパンは組織やマネジメントに非常に大きな焦点を当てています。
これは外資系企業には共通することです。
外資系企業で「人」と言ったときに焦点が当たっているのは、管理職までなのです。
ワーカーや現場の人にあまり光を当てないのが外資系の一つの特徴だと思います。
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