旭化成インタビューその4
2014 ものづくり総合大会(2014年2月19日~21日)にあたり行った、開催前インタビューです。
喜んでもらえる生産技術とは?
安部
社内やチーム内の意思疎通や、積極的な議論が行われるようになるためのよい取組みって、何かあるのでしょうか?
後藤
課題として私自身が取り組んできたのは開発段階から生産技術が入っていくということですね。
新しい事業の開発は、生産設備とは全然違うスケールで、言わばビーカみたいなもので検討されることも多く、実際製品化するときには、どうしても手作り感でやってしまうことがあります。
最近は、事前にお客様に評価いただくステージが大事なのですが、評価段階で手作り出荷したものを生産設備に展開することはとても大変で、中には手作りをし続けるケースもあります。
それを避けるために、我々が開発の段階から参加して、早めに情報交換させてもらうことを定期的にやるようにしています。
そうすると、生産技術から考えたら世の中にこんな生産プロセスがあるから、これで作ればいいですよ、と言えることがあるんですよ。
スピードも早くなるし、工業化する際の設備イメージも全然変わってきます。それで、先方にも喜んでもらえます。
逆に、川下との連携をもっと強くしたい。お客様の声を聞いて、この先どんなものが欲しいのか、どんなふうに変わったらいいのかをもっと聞きたいですね。
具体的には、商品のデザインというところで協力している部署があるんですね。
CAEをおこなっている部署などは、意外に下流側のユーザーさんの声も聞けるところがあって。
そうするとどういうものが今度5年10年先欲しいよって声が聞こえる。それを反映していける。いろいろなところで、そういった動きをしないといけないのかなと。私どもの競合メーカーさんはそういうとこが長けてるところが多いので、学んでいかないといけないかなと。
これは個人の意見なんですけど、思ってますね。
当然ちゃんとまわっている事業会社もあると思うんですけど、やはり業態からするとなかなか難しい。やっぱりB to Bでものを提供していると、なかなかそこの吸い上げが出来なくて、ある時商品がガラッと変わっちゃうと、本当に置いて行かれるかもしれない。
おそらくアンテナをすごくはってくれてると思うんですけど、やっぱり生の声を聞かないと。
一番生の声っていうと、お客様となる工場の声ですが、その中でも企画をして次の商品を作ろうとしているお客様の開発部隊の声を聞けるというのが一番いいと思うんですよね。
将来我々も素材をだしていくときは、そこに関わっていかないといけない。
素材を売っているだけだと、その部分に関わるのは難しいので、商品企画みたいなところにどうやって入っていけるか。我々の素材と一緒に、お客様にとってメリットのある情報ご提供して、その時にこんなこと考えているんだけど・・・ってお客様から声に出していただけるようになることが、大切かなと思ってます。
安部
その時は、物性だけの話じゃなくて作り方っていうのもユーザーさんの声にこたえるときの大きな要素だという前提があるわけですよね?
後藤
物性っていうのは、おそらくお客様が設計された商品特性に関わる部分だと思うんです。
一方、作り方に関しては、我々の商品がお客様に届いたときに、お客様の工場において加工性がいいとか悪いとかがひとつの例ですよね。それからあとは、私どもがこういうふうに作ったせいで、お客様が作られた商品の表面状態がこんなふうになっちゃたとか、あるいは、接着性といったハンドリング性が違うとか、そういったことを聞いてそこを直したらもっと違う作り方ができるとか、そういうことにつながる部分だと思います。
例えば、お客様はあきらめてたかもしれないけど、我々の違う分野では似たようなことがすでにできているので、この素材をこう使えばできますよという話ができれば、おそらくお客様の生産の仕方が変わってすごくメリットがあるとか。
発想が広がって設計がぐっと広がるとか。そういうのがあれば、一緒にさせていただけるって話につながると思いますね。そういうことを吸い上げたい。カタログに書いてある物性だけだと、なかなか難しいのかなと思ってます。
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