富士ゼロックスインタビューその2
2014 ものづくり総合大会(2014年2月19日~21日)にあたり行った、開催前インタビューです。
サービスまで含めたサプライチェーンとは?
安部
組織的なお話として、貴社の大きな組織区分(本部)としては、ものを「つくるところ」と「開発するところ」と2つに分かれているというイメージでよろしいでしょうか?
その組織間で連動したものづくりを行っていくことは、既に従来から取り組まれていらっしゃることでしょうか?
清水目
そうですね、当社の開発生産機能は比較的フラットな組織形態になっています。機能間、本部間が対等な位置関係と表現してもよいかと思います。
そのなかでサプライチェーンおよびエンジニアリングチェーンでの連動、または複合されたカタチでの連動にて、広義のものづくりがされていると捉えています。
当社では、20年以上前から全員設計という思想があります。
これは色々な機能部門の知恵や経験を製品設計に入れ込もうというものですが、この考え方は定着していますし、その他でも例えば企画フェーズにおけるPF構想や現行商品の原価改善活動など多くの活動においても各機能が連携して取り組んでいますね。
また、一連の作る、買う、運ぶというプロセスは、お客様に商品を届けるところまで繫がっていますので、最終的にお客様にどんな売り方、お届け方をするかで作り方が決まるし、作り方によって、買い方、運び方も決まるはずです。
そういう作り方、買い方、運び方だから、こんな設計をしようよ、といったことが大事だと思いますね。
安部
バリューチェーンの下流のほうは、メンテナンスやサービスまで含めたイメージをお持ちなのでしょうか?例えば、こんなサービスだから設計や生産はこうする・・・ですとか。
清水目
当社では、お客様にお使いいただいた商品を回収し、100%再資源化をしています。
私たちは、お客様へ商品をお届けする流れを「動脈」、使い終わった商品を回収する流れを「静脈」と呼んでおり、商品の回収や再利用も全て生産プロセスの中に入ります。
リサイクル事業やそれに伴う技術も生産本部の中にありますので、お客様のその先まで見据えた『ものづくり』を定義していますね。
また、お客様にご迷惑をお掛けしないように、設置時間をいかに短縮するか、所謂、プラグインで電源コードとネットワークコードをつなぐだけでお使いいただけるようなサービスも生産が流通加工の一つのメニューとして行っています。
そういうことがやりやすいような施策を設計に入れておいてもらうことも上流へのフィードバックの一つです。
安部
お客様が起点で、次に作り方があり、調達の仕方があり・・・という流れを考えることは、貴社の中では一般的なことですか?
清水目
お客様起点という考えは定着していると感じています。
安部
技術力が高いゆえに技術起点で商品を生み出してしまいがちである、というような課題をよくお聞きしますが、そこで大事なのは買う側のお客様の視点を起点にするその考え方だと思うのです。
清水目
その通りですね。もちろん、高い技術力は商品力を高めたり、新たな価値を生み出すために必要なのですが、やはり、買って使っていただいて、初めて価値になるのだと思います。
そういう意味で、メーカー機能としては最もお客様に近い生産がインターフェースとなり、開発部門に情報を伝えなければならないと思います。
知恵や知識を商品という形に変えてお客様からお金をいただいているのがメーカーですから。最終的に設計が悪かろうが、部品が悪かろうが、QCDの責任は生産が持っていると経営からも強く言われています。
責任を持つ機能が発信していくベきでして、当社では単に情報を伝えるだけではなく、開発設計と一緒に考えるような取り組みにシフトしてきています。
やはり、生産と開発も切っても切れないですね。
今回のものづくり総合大会では、開発セッション(Bセッション)の話も聞きたいと思っています。
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