旭化成インタビューその1
2014 ものづくり総合大会(2014年2月19日~21日)にあたり行った、開催前インタビューです。
企画委員の旭化成 後藤慎二氏(生産技術本部 技術企画グループ グループ長)を訪問しました。
日本能率協会の安部武一郎がインタビューします。(以下敬称略)
先行開発のためのエンジニアリング組織とは?
安部
貴社はエンジニアリングに特化したグループ会社をお持ちでしたが、それを本体と統合されたとお聞きしました。そのような組織的な動きはどのような課題背景から起きたのでしょうか?
後藤
もともとは社内にエンジニアリング組織があって、各事業に対し装置面などを含め生産技術的支援業務を行っていましたが、会社を分社化することになった際、生産技術機能をどうするか、ということが議論になりました。
例えば、担当している専門分野、石油化学系、電子部品系、組み立て系など、それぞれ切りわけるか、あるいは一つの集団としてまとめ力を発揮するか。
そして、最終的には後者の一つの集団であるべき、ということになりました。
そうして別会社として発足したのですが、生産技術支援は、ともすると業務依頼を受けてその業務をいわば「こなす」ような姿勢になってしまう側面があります。
本当は将来・・・5年、10年先をみすえた、生産技術の先行開発も、全社的取り組みとしてやっておかなければならない。
そうした取り組みが、おろそかになっていた部分もあったんですね。
それで、大きな事業計画に関わる技術開発は、持株会社でみていく、それが本来あるべき姿で、会社全体のためにしっかりと技術開発をする形を明確に打ち出す議論があがり、再編という形になったんです。
我々も、エンジニアリング会社をお持ちの化学系会社さんなどに、組織についてお話を伺ったんです。そしたら、生産技術機能を外にだしてるのは、私どもだけと、いうことが判りました。
逆に、「それで仕事まわるんですか?」と問われたりしたそうです。
これは組織を変えないといけないなと、当時のトップが考えて改革を進めていったということです。
実は、その前に保全組織も各事業会社に分けていたことあったんですね。
当時いろいろ議論しましたが、各事業会社の責任を明確にする意味でも商品を生み出す大事な場である工場で全部責任を持ってみるということになりました。
ただ、実際には規模の小さな工場などではなかなか保全メンバーを育て難いんですよね。スタッフが多くないと余裕も持てないのが現実ですし、教育がなかなかできない。
そんな危機感もあり、もう一度全体をくくり直して地区保全部をおこし、その全体を統括する保全統括部を持株会社に設置しました。
保全組織からまず改革したということになります。
そんな経緯があって、2011年に生産技術本部を持株会社に持ってきました。
今は2013年ですから、組織改編から3年目です。本来やろうとしていた次世代の生産技術開発などの取り組みも始まっています。
また、今まで十分できていなかった全体最適の議論やグループ全体を俯瞰することがやり易くなったと思っています。
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