花王・JMA対談インタビューその6|「品質を武器に」に込めた思いとは?
2015ものづくり総合大会の企画委員会「品質」ワーキンググループ・リーダーである花王の大谷氏と企画事務局の日本能率協会 安部武一郎の対談インタビューです。(以下敬称略)
「品質を武器に」に込めた思いとは?
ーーー最後に、これだけはお伝えしておきたい一言をお願いします。
大谷
いわゆる「品質」という語感が想起させる一般的イメージは、大切なんですが正直あまり好きではないんですよ 笑。
いつも、いろんな品質の問題があると、ものづくりに関わる人たちが責められる。
でも、ものづくりに関わる人たちは高品質実現のために、日々一生懸命努力している。
それでもエラーが発生すると、たとえ小さなエラーでも全てを否定されてしてしまうことがある。これは理不尽だと思います。
ーーーそれは辛いですよね。
大谷
エラーはエラーとしてもちろん改善しながら、実際にやっている日々の品質に対する取組み、これがやっぱり陽の目をみるカタチにできたらなと思って、あえて品質はディフェンスではなくオフェンスであるということを打ち出したいです。
社内でよく言うことなのですが、品質管理や品質保証はいつも品質のためにがんばっている。でも品質を武器にという思いでは、やっていないのではないか、と。
品質にこだわっているなら、本来、それは武器にできるのではないですか?
その武器を使いこなしたいじゃないですか。
たぶんに、品質は企業のブランドに繋がっています。「メイドインジャパン」でも「メイドバイ○◯」などの社名ブランドでもいい。
それがブランドになるだろうし、なるべきだと思います。
これだけ一生懸命、日本の企業はものづくりをしている訳ですから、その集大成は品質だろうという思いが強いんですよね。
安部
ブランドと言うキーワードは、今回この大会を企画する経緯の中で、実はたくさん出てきたんです。ワーキンググループでも出ましたし、企画委員会でも出てきました。
日本の製造業は、従来からすると量産体制をひいてコストを下げていくという、コスト重視のものづくりではなくなってきました。
その中でもし、日本ブランドを強みにしていこうという時に、そのブランドをどうやってつくるかという要素に、絶対に品質があって、その品質をまたブレイクダウンした時に、その変数はどこからくるのか。という仮説があって終わってしまっている面があります。
例えば、花王さんの商品では、海外現地での生産品と日本での生産品が並んでいた場合に、高価な日本産の商品の方が圧倒的に売れるという現象もおきていらっしゃいます。
もしかしたら、我々が気づいていない価値がそこにあるかもしれないということですね。それに気づくきっかけになるセッションであってほしいと思います。
その意味では、ブランドを向上させるとか、グローバルの販売を考えるとか、今後の日本の拠点の役割や、日本製の商品の位置づけに悩んでいる方にも、品質の切り口からヒントを得ていただけるのではないかと思います。
大谷
今回の企画について議論を進めていて、品質という切り口に関しても、当初は共感いただけた方は少なかったと思います。ワーキンググループでは、色々と思いの通じた議論ができました。
その意味では、攻めの品質を今回のセッションで何かしらカタチにできればいいと思っています。
安部
事務局としても、攻めのセッションです。初めて設置するチャレンジ企画ですから 笑。
ーーーものづくり業界では、品質と言うと何か問題がある時に前面に出るイメージがありますが、そこに一石を投じる訳ですね。
大谷
測れないから難しいんですよ。結構定性的だと思います、品質って。
ワーキンググループでの議論の中で、「品質が高いのは当たり前だから、なかなかそれを武器にすると言うのは難しいですね」という話もでました。それは、色々な所で色々な人達と議論していかなければ、結局今のままぼんやりとした状態だと、ディフェンスの感覚にしかならないのではないかと思います。
ぜひ、この講演の中で一つでも興味関心を持っていただいて「品質を武器に」と言う言葉をものづくり企業のあり方のヒントにしていただけたら成功だなと思います。
ーーーありがとうございました。
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