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目標のあり方

全社一体体制のものづくり改善マネジメント
-ものづくりグローバル標準マネジメントシステムの構築-
第2章 全社一体体制のマネジメント

3)ものづくりグローバル標準マネジメントシステム実現のための10の視点(全社一体体制構築の要点)

 グローバルレベルでの事業展開、その変化への俊敏な対応が必要な現在、企業が求めるものは、どんな状況変化が生じてもあたかも一体であるがごとく運営されることである。全社一体体制のマネジメントシステムの副題がグローバル標準マネジメントシステムの構築のためにというのは、まさにこのためである。企業がその経営計画を具現化するために、目標設定、目標展開、施策選定、施策実行、施策の進捗管理、効果の実績管理、目標未達成時の挽回策実施を全社一丸となって推進していくために整備すべき事項がある。
 それらは、以下に述べる10の視点である。
 ①目標のあり方
 ②目標展開と施策
 ③拠点間、部門間の連携
 ④実績管理とツール
 ⑤改善サイクル
 ⑥改善事務局の設置、機能
 ⑦自律化の仕組み
 ⑧人材育成
 ⑨ ミドルマネジャーの状態
 ⑩作業者、担当者の状態
 前述したとおり、ここで述べているマネジメントシステムは、事業競争力向上が主な目的なので、
 ・どのように目標をもって
 ・どのように改革を推進し
 ・その時の従業員やマネジャーの状態はどうあるべきか
が重要になる。
 これらを網羅するために、上記の10の視点で検討することが重要である。
以下、これら10の視点に関して説明していこう。

1) 目標のあり方

(1)目標設定の方法と考え方
 事業計画における目標として、売上、利益、キャッシュフロー、品質、コスト、リードタイム、在庫……などがあげられる。
 これら目標の中で核となるのは利益とキャッシュフローである。他方、売上、コスト、品質、リードタイム、在庫などは核となる目標を達成するために必要な目標であり、そこに整合性が必要となる。つまり、目標利益を達成するために必要な売上とコスト(原価)はいくらになるのか、その売り上げを達成するための品質レベルはどれくらいか、という整合性を持っていることが目標設定で重要となる。
 また、各目標のレベルは、達成できるかどうかの可能性を考慮するレベルではなく、むしろ顧客の要求レベル、競合他社の動向やレベル、競合製品の動向やレベルを勘案し、勝てるレベルであることが重要である。
 グローバル展開されている企業でも基本的な考え方は同じである。しかしよく耳にするのは、各国にある事業拠点(生産拠点)は、各利益目標達成のために個別にやるべきことを決めてしまい、個別最適になってしまう、ということである。
これを防ぐためには、企業の総合目標(利益やキャッシュフローなど)達成の基本戦略を明確にし、その戦略に基づいた各拠点の機能、あり方を明示した上で上述の展開をする必要がある。そうすることで、事業全体の最適化を前提とした、各拠点の改革推進となる。

(2)目標の示し方、従業員への浸透のさせ方
 改革を推進する際に最も重要なことは、改革推進の主役である従業員が高いモチベーションを持っていることである。このモチベーションを明確に持たせるためには、
 ・どのレベルまで改革するのか
 ・なぜそのレベルまで改革すべきなのか
が明確でかつ従業員が理解できていることが必要である。
 そのため、単に目標を掲示するだけではなく、
 ・競合他社と自社の比較
 ・競合製品と自社製品の比較
 ・このまま改革しなかった場合の利益や売上げの成り行き分析結果
など、設定した目標レベルに関する必要性(妥当性)を明示することが重要である。

(3)目標項目の範囲、広がり
 前述したように、目標は事業や商品の競争力を競合に勝てるレベルに設定することが重要であるが、競争力を高める要素は、QCD目標以外にもある。
たとえば、競争力の源泉である「従業員の企業に対する満足度」も一つである。
 従業員が満足するとはどういうことか、どのような指標で測定していくのか
を明確にして目標を設定していく。指標の例としては、「定期昇給率」、「賞与月数」、「個人が持っている改善目標の達成度」、「改善検討時間確保率」、などがある。
 また環境対応目標や地域貢献目標などを定めている企業も多くみられる。人への貢献という意味で、介護関連製品(介護支援ロボットなど)開発に関する目標、環境貢献製品開発に関する目標を定めている企業も多い。

(4)業者目標実現のための面積と高さ
 業績目標には年間の総合成果をあらわす「面積目標」と、年度末での最終成果をあらわす「高さ水準」がある。コストダウンを例にとると、
・<高さ水準>=年度末に達成すべきコストダウン水準
・<面積目標>=各月のコストダウン目標の累計額という。
したがって、
・高さ水準(目標となる場合もある)を設定する時は、次年度以降のコスト競争力を意識し
・面積目標を設定する時は、当該年度の利益目標を意識して設定することになる。また、面積目標と高さ水準には上述のような意味がある
ため、両方を同時に実現していく必要がある。(図表2‐ 9)。

(5)業績目標と体質(状態)目標
 一般に中期計画や年度計画に示される目標は、売上、利益、キャッシュフロー、品質、コスト、在庫などで、これらを業績目標という。一方、この業績を継続的に達成するために、技術のレベル、従業員の質や風土、マネジメントのレベルなど企業の体質をどのレベルまで向上させるかも重要な課題になる。
 そのため、業績目標とあわせて、企業の体質や状態のあるべき姿を明確にした指標と目標値を設定する。これを体質(状態)目標という。体質(状態)目標は一般的に、機能別(営業力、開発力、購買力、生産技術力、生産管理力、
品質管理力、製造力、原価管理力、物流力、アフターサービスカ、環境管理力など)に技術、マネジメント、情報システム、人材のあるべき姿を描きそれを目標とする。

(6)事業環境変化に対する目標変更の俊敏性
 事業環境の変化が激しい昨今では、変化に俊敏に対応できる経営が重要である。
 そのためには、当初立てた目標を変化させても目標を達成できるマネジメン
トシステムを構築しておくことが重要である。
 環境変化で売上げや利益がどのように変化するのか、それに伴い、コスト、品質、在庫などの目標をどのように変化させるべきかをシミュレーションし、迅速に新たな目標とそのための施策を設定(変更)する。あわせて、個人の目標レベルまで変更後の目標を再展開し、施策の変更、追加まで迅速に対応する仕組みが必要である。


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