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オープニングセッション講演録③
ファナック 稲葉善治氏
『IoTが切り開く製造業の未来』

日本能率協会ものづくり総合大会事務局です。
本日は、ファナック株式会社 稲葉義治氏の講演録です。
『IoTが切り開く製造業の未来』と題してご登壇頂きました。

2月15日オープニングセッション、午後の部最初のセッションはファナック株式会社の稲葉氏にご登壇頂き、ファナック社のイメージカラーである鮮やかな黄色のスライドをもとに1時間ご講演頂きました。

講演ダイジェスト
・ファナックが掲げる『サービスファースト』とは
・オープンプラットフォーム【FIELD System】とは
・人工知能が実現する世界

同社は約30年前に、富士通の社内ベンチャーとして、31歳の若き天才エンジニア2名により山梨県の富士山のふもとで創業しました。FAロボットやロボマシーン、工作機を主製品とし、約6,000名の社員のうち半数は海外で勤務をしているというグローバル企業です。

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ファナックが掲げる『サービスファースト』とは

同社のメイン顧客は製造業企業であり、『サービスファースト』というスローガンを掲げて製造を行っています。
『サービスファースト』とは、『止まらない工場』を実現することです。
設備の不具合によりラインが止まることを悪とし、『壊れない・壊れる前に知らせる・壊れてもすぐ直せる』という思想のもと製品づくりを行っています。
現在、多くの製造業は人件費の高騰、労働人口の減少など様々な課題を抱えており、工場の自動化の必要性がますます高まっています。
ここで例としてあげられていたのは、自動車メーカーです。多くの自動車メーカーでは、海外生産が7割にものぼり、急速なグローバル化に対応する中で、どの国や地域でも同一に工場を展開するのではなく、その地域に応じて工場ごとにカスタマイズしていくことが必要とされます。

また、工場内部での課題としては、予防保全や、工場の最適化(いかに世界中の工場に対して生産技術を標準化できるか、精度を全体最適できるか、現場のスキルの自動化を実現できるか)といったことが挙げられます。

こうした昨今の海外展開に関する課題に対して、IoTとAIの積極的活用が急務となっているのです。
IoTと一口に言っても、闇雲に繋げればよいのではなく、取捨選択が必要となります。
機械が持つデータ量はケタ違いであり、データとデータを繋ぐに際しては、セキュリティも重要な問題となります。加えて、クラウド上にデータをあげることにより生じるタイムラグも問題です。

オープンプラットフォーム 【FIELD System】とは

こうした課題に対して、リアルタイムで処理を行うべく、ファナックが2年前より取り組んでいるオープンプラットフォームが【FIELD system】です。
このプラットフォームは、製造現場の新しいエコシステムの確立と、インテリジェントな製造現場の実現を目的としており、各社が自社のアプリケーションを追加で実装することも、ネットワークの規模に応じて、次々と繋いでいくことも可能です。
極めてオープンなプラットフォームであり、IICやIndustrie4.0のようなサプライチェーンと独立したものでは無く、その大きな流れの中に組み込んでもらうという考え方のもと展開しています。

製造現場では、多くの工作機械が20年など長いスパンで利用されています。
最新のIoTシステムと連携したい場合、機会を買い替えるコストが発生してしまうという課題がありましたが、【FIELD System】は古い機械や、他社の制御装置やロボットでも接続が可能なため、そうした問題を解消することが可能です。
オープンなプラットフォームであるがために、様々なことが可能になっていることが特徴として挙げられます。
例えば、他社が開発したアプリケーションを追加実装することで、予防保全や高効率の実現など、製造現場に役に立つ機能を無限に付与することも可能です。
こうした結果、繋いで、見える化を実現し、個々の機械を賢く、最終的には工場全体を賢くといったことを可能にしているのです。

人工知能が実現する世界

また、稲葉氏は同講演の中で人工知能に関しても言及しています。
人工知能を現場で活用するに際しては、人工知能のレベル感を正しく把握する必要があります。

人工知能が行う機械学習とは、様々なデータの中から自らルールを見つけることを指しますが、人工知能は大きく分けて4段階のレベルに分類されます。

レベル1は、制御理論。従来の人工知能ロボットなどがここに分類されます。決められたルールに則り、的確に動くことが可能な段階を指します。
レベル2はデータベース。AppleのSiriなどが例として挙げられます。
データベースの中から必要な情報を探し出すことが可能な段階です。
レベル3が機械学習。Amazonのお勧め商品表示などが分類されます。
人間が渡すサンプルを基幹に特徴を抽出することが可能です。
そして、レベル4は深層学習、自動で特徴抽出することが可能な段階です。

こうしたレベル感を示したうえで、同社が目指すのは、レベル1に属するような、人が設計したルールやプログラムに則り動くロボットではなく、『自らルールを学習し、自律的に動く・人が気づけない変化に気付く・機械同士が協調する・不具合を補い合う・熟練者のスキルを学ぶ』ことが可能になったロボットであり、産業用ロボットが賢くなることで、工場全体がスマートになるという時代はもうすぐそこまで来ていると力強く述べています。

一方で、まだ課題は残っています。IoT化を進めていく中で、どのようなデータを集めればよいか、どこに「宝」があるのか、個体差や環境差をどう扱うか、と言った点です。
そういった課題に今後も取り組みながら、同社は『産業革命が人間の暮らしを豊かにしたように、より人間が人間らしい生活を送ることを、ロボット技術を通して実現していきたい。ロボットが代替することでより、人間が失敗を恐れずクリエイティブなことに挑戦する社会を実現していくことが使命である』と述べ、講演を締めくくりました。


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