調達セッションコーディネーターその4|「日本が得意な調達のスタイルとは?」
2014 ものづくり総合大会(2014年2月19日~21日)の開催後におこなったインタビューです。
日本が得意な調達のスタイルとは?
安部
欧州や米国系では、調達がプロフェッショナルとして存在していますし、その資格もありますよね。
一方で、日本の企業がそうなってこなかったっていうのは、なぜでしょう?
加賀美
歴史的な差ですか。
そもそも調達部門の位置づけが、はじめから違うとは感じます。
先進欧米企業の一つの特徴として、外部に支払う費用は、全部調達部門を通すようになっているのです。
財布の紐をしめているのは、調達部門なのです。
彼らが、その調達している中味がわかっているか、わかってないかは関係なくて、調達部門が、それをしめる。
日本では、そうではない。まず、そこが大きく違うと思います。
日本の場合は、調達部門というのは、直接材を中心にやってきて、ようやく最近になって間接材も調達がやることになってきていますが、 そこの着眼の仕方については、欧米の先進企業から20~30年ぐらい遅れている感じだと思います
安部
でも一方で、日本企業の調達マンの将来像には、やはりいろんな部門と連携できて働きかけができる、という協働のニュアンスを感じるのです。
独立した専門家で、というよりは連携してという方向に流れとしては進んでいるのではないでしょうか?
加賀美
日本企業は、そうだと思います。特に開発購買に重点を置こうとしているところが多いですから。
調達部門が、いかにコーディネーターとして役割を発揮するか、というところを問われるという面が多いと思います。
安部
生産技術分野でも、コーディネーションという言葉がよくでてきています。
お互いに融合する、コーディネートしあうという機能が、組織的にも体現されはじめていると感じますが。
加賀美
そうですね、やはり生産技術にしても調達にしても、とにかく仕様が決まる前段階でどこまでアイディアを盛り込めるかという、その発想、ニーズは一緒なのです。
そうすると、どうしてもコラボレーションして、コーディネーションしていくという面が必要だと思います。
安部
欧米の場合は、どちらかというと仕様がかっちりと決まってその後に生産プロセスが始まる、という流れでしょうか?
加賀美
そうですね。組織的には、欧米のほうが、そういう傾向が強いと思いますけども、だんだん最近は、そうではなくなってきている会社もあるかと思います。
自動車系とかは、連携するようになってきていると思いますよ。
安部
作るものによっては、仕様が決まる前に連携したほうが、いいものが作れて、安く作れるということですよね。
加賀美
そういう認識は、欧米でも高まってきていると思います。
ただ、そこの摺り合わせが、欧米が得意かというと、やはり日本のほうが、得意だと思います。
組み合わせ型のほうが、新興国も含め強いでしょう。
組み合わせ型のほうは、日本はちょっと苦戦していますから。