【講演者インタビュー】2月23日 富士ゼロックス 稲垣氏
2018ものづくり総合大会にてご講演いただく、富士ゼロックス お客様共創ラボラトリー マネジャー 稲垣 政富氏に、日本能率協会の小高がお話をお伺いしました。
(以下敬称略)
「モノ売り」から「コト売り」に変わっています。
小高
今回の発表概要にある「あつまる、ぶつかる、うまれる」というキーワードを中心にお話をお伺いしたいと思います。
まず、「あつまる」とは、なんでしょう?
稲垣
まず、このみなとみらいのR&D拠点のお話をさせてください。
小高
よろしくお願いいたします。
稲垣
弊社は複合機を作っているメーカーで、今までは、「ものうり」企業でした。
複合機は、大小の部品をあわせると、20万点にものぼり、多様な技術のすり合わせです。紙送りならば機械工学、トナーは化学工学、制御では電子工学、徒然、光も扱います。様々な「コウガク」で成り立っています。
そんな状況から、複合機とは、ほぼ日本企業でしか作っていない、といえます。
小高
それは意外でした。
稲垣
また、複合機はオフィス需要がほとんどです。
となると、メンテナンスが重要で、それだけの拠点を持てるところ、となると、限られます。
小高
確かに、うちにも良くサービスの方が来ています。
稲垣
いわゆるメンテナンスモデルでした。
その時のセールスは、前任機や他社と比較して、「きれい」「安い」「早い」「丈夫」という、いわゆるスペックで営業できるものです。ある意味、分かりやすかったのです。
小高
毎分何枚、とか、印刷費が何%下がるとか、カタログに記載しやすい定量的なものですね。
稲垣
そうです。
ところが、お客様の要望が変わってきて、「きれい」「早い」「丈夫」は当たり前で、そのうえで、どのような課題解決ができるのか、を提案する必要が出てきました。
いわゆる、「モノ売り」から「コト売り」です。
となると弊社内で業務連携が必須になってきました。
小高
お客さんの声を開発に活かす、ということですね。
稲垣
そうです。
また、海外を見てみると、中国やインドなどの経済が伸びている国や地域では、紙出力需要が増えています。
これをDocument Volumeというのですが。
しかも彼らの要求は、「(筐体が)小さい」「丈夫」「早い」こと。
これは今の日本のラインナップには無く、別の対応が必要になっています。
小高
機能を絞り込んで?
稲垣
そうです。
となると、かつての「機能最適」から「全体最適」を求められます。
今までの「Make&Sell」から「Sense&Respond」へ、市場のニーズを的確にとらえて、素早くマーケットに出していく必要があります。
その為に、開発の拠点を集約する必要があり、さらにお客様に足を運んでいただきやすい場所にする必要があった、それが、みなとみらいのR&D拠点です。
小高
なるほど。
稲垣
また、この移転に合わせて、2007年に全社プロジェクトが立ち上がりました。
その中で、社内における働き方変革も起きます。
富士ゼロックスでは「言行一致」が広く使われています。
自社や自分の業務の中で日常的に課題を見出し、それを改善していくことで他社の課題の解決にもつながります。
小高
横浜に移して、ほかに変わったことはありますか?
稲垣
技術者の応募が増えました。
小高
新卒採用ですか?
稲垣
そうです。
どうも研究機関というと、交通の不便なところにあると思われがちですが。
小高
先ほどの「お客様の利便性」がここにも生きてきましたね。
稲垣
そうですね。
~次回に続く~