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ものづくり 日本の心

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。
発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

梶文彦の「ものづくり 日本の心」(2)|日本人の底に流れるものづくりの通奏低音

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第2回目は、「日本人の底に流れるものづくりの通奏低音」と題してお届けいたします。

第二次大戦後しばらくの間まで、圧倒的な力で豊富な物量を生み出し続けていたアメリカでは、ものづくりの多くは国外に移動し、製造業はGDPでわずか一三パーセントを占めるにすぎなくなっています。

アメリカ国内の産業としては、製造業は主役の座から去り、老兵は消えゆく運命にあるかのようです。

アップルは生産を自社で行っていませんし、かろうじてつないできたものづくりの誇り、自動車産業さえ、国の支援なしでは一人歩きさえおぼつかなくなっています。

多くのアメリカ人はそのことに、あまりこだわりを持っていないようですが、日本人はいまでも「ものづくりを放棄して日本の発展はない」と異口同音に言います。

アメリカ人が興味を失った「ものを作るというプロセス」に、わたしたちはなぜこれほどこだわりを持っているのでしょうか。こんな国民は、歴史上、世界にも例はないのではないかと思います。

近年、日本でもサービス産業化が進み、製造業のGDPに占める比率はわずか二二パーセントにすぎなくなっています。それでも多くの日本人は、やはり製造業が元気でなくては日本はダメといいます。

なぜ、私たちはこれほどまでに、ものをつくるという行為にこだわるのでしょうか?

日本人のこうしたこだわりをみていると、ものをつくるという行為そのものに、日本人をひきつけてやまない何かがあるように思えてなりません。

江戸時代中期(一七五四年)に発行されて人気になり、何度か版を重ねて、パクリ本まで発行された書籍に「日本山海名物図会」という書籍があります。

絵入りで諸国の山海名物を紹介するいわばカタログ本のはしりのような書籍ですが、紹介されているのは、諸国の名物といっても、名物そのものではなく、その名物を採集・加工する現場の様子を紹介した、いまふうに言えばメイキング本なのです。

山陰地方では、たたら製鉄が知られていましたが、イラスト入りで紹介されているのは、鉄鉱石や鉄がとられる自然環境や鉄製品そのものではなく、原料である砂鉄を集める様子やそれを溶かす炉と、ふんどし一つの裸姿でふいごを踏んで炉に風を送っている作業者たちの現場の姿なのです。

知らない土地の、知らない名産品がどのようなものなのか、どんな姿をしていて、どんな味がするのか、調理法は?と関心をもつのは分かります。

でもこの本はそうではないのです。名産品そのものへの関心以上に、名産品を加工するプロセスにより強い関心をもっているのです。読むのは、いったいどのような人たちなのでしょうか。

しかも、この本は、一七五四年に発行された後、四三年後の一七九七年にも版が重ねられているだけでなく、類似の書名のパクリ本まで発行されているのです。

わたしたちは、ものをつくるという行為に、なぜ、こんなに関心をもつのでしょうか。業(ごう)と言ってもいいようなこうしたこだわりは、世界でも突出しています。

わたしたちがそうしたこだわりを持っていることを、普段はまったく意識していません。

しかし、もしかすると、ものをつくるプロセスへの強いこだわりは、あたかも遺伝子に組み込まれたDNAのように、通奏低音となって、私たちのなかを流れているのではないか。

それが結果として、私たちにものづくりへのこだわりをもたせ、高品質なものを生み出させているのではないか、そう考える以外に、説明がつかないのです。

梶文彦 写真

梶文彦氏執筆による、コラム「ものづくり 日本の心」です。

梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています。

写真撮影:谷口弘幸


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