ものづくり 日本の心

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。
発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

「日本のものづくりは、世界の財産である」(93)|第八章 ものづくりの将来性と潜在力 〜イノベーションを生む条件〜

イノベーションは、どうやって起こされるのでしょうか。
企業が、市場でイノベーションを興すような新製品を開発するためには、どのようなプロセスが必要なのでしょうか?

たとえば、ウォークマンなど、過去にイノベーションを起こした商品をみてみましょう。
これらはいずれも、かならずしも、新しい技術開発がきっかけで商品化されたというものではありません。
既存の技術を組み合わせ、その中の、ある機能に特化して商品化し、ユーザーとのインターフェースに独自のデザインを施すことで、消費者に未体験の新鮮な価値や喜びを提供する、つまり、開発者の発想やニーズが起点となって、既存の知識、技術を組み合わせて作られた商品なのです。

新しい研究開発の成果がもとになって生まれたシーズ型の商品ではないのです。
もちろん、素材産業などでは、炭素繊維のように研究開発力がベースになって生まれるものもありますが、消費財マーケットで見れば、むしろ既存の技術を巧みに応用した商品が多いのです。

経済学の巨人シュンペーターは、1926年に著した「経済発展の理論」(東畑精一ほか訳、岩波書店、1980)で、経済の発展は「新結合」によっておこされ、「決して科学的に新しい発見に基づく必要はない」と書いています。そして、新結合が起こされる5つのケースを上げています(図)。
当時はイノベーションということばはなく、イノベーションに近い大きな変革を不連続の発展とよんでいた。そして、シュンペーターは、「不連続の発展は、新しい科学的な発見によってではなく、既存のものを“新しく”組み合わせることによって起こされる」と言っているのです。

しかも、そのイノベーションはどうやって起こるかについて、
「経済における革新は、新しい欲望がまず消費者の間に自発的に現れ、その圧力によって生産機能の方向が変えられるというふうに行われるのではなく、――それを否定するものではないが――むしろ新しい欲望が生産の側から消費者に教え込まれ、したがってイニシャティブは生産の側にあるというふうに行われるのが常である。」と書いています。
 新製品企画では、新しいマーケットが生まれるかどうかを判断すべきところで、現状のマーケットだけを見て<売れる/売れない>の判断をするトップが多い。それが、愚の骨頂であることをシュンペーターはすでに100年以上も前に喝破しているのですね。

よく見ると、ジョブズの商品開発がまさにこのやり方なのです。
必要なのは、ゼロからの技術開発ではなく、既存商品・技術に新しい価値を見つけ、その価値を形にして提供することであり、イノベーションは科学的な新しい発見から始まるという思い込みが、日本からイノベーションを生まれにくくしているのではないかと思います。
スティーブ・ジョブズは、新製品開発の世界で、イノベーションを起こし続けた一人ですが、彼がどのように商品を開発してきた、少し振り返ってみましょう。

梶文彦 写真

梶文彦氏執筆による、コラム「ものづくり 日本の心」です。
梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています。
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