【講演者インタビュー】2月22日 アーレスティ 大出氏
2018ものづくり総合大会にてご講演いただく、アーレスティ 技術部 技術開発2課 課長 大出 克洋氏に、日本能率協会の小高がお話をお伺いしました。
(以下敬称略)
安全を確保するために製法の研究を15年継続、今も。
小高
今回、ご発表いただく技術についてご紹介いただけますか?
大出
弊社では、自動車の足回り部品を作っています。
文字通り車を支える重要部品の一つで、これが走行中に壊れると大きな事故になります。
絶対の安全性を担保するために、完成品の全数をX線で検査していました。
今回の発表では、この検査を不要にした技術を中心にお話いたします。
小高
具体的にはどのようなものなのでしょうか。
大出
弊社の「NI製法」技術は30年ほどの歴史があります。
足回り部品を鋳造するのですが、2003年から量産いたしました。
鋳造過程において、「鋳巣(いす)」という空洞ができると製品の強度を保てないので、その検査のために、すべてをX線で検査し、鋳巣の有無を調べて出荷しています。
小高
先ほど、NI製法は30年の歴史で、生産に実装されたのは2003年から、ということは、研究段階が15年あったのでしょうか?
大出
そうです。
普通なら中止になるところですが、これは弊社の経営層に「安全は絶対」という理解があったからだと思います。
小高
鋳造の前はどのような作り方だったのでしょうか?
大出
鍛造です。
鍛造の場合、メリットとしては鋳巣ができないことが挙げられます。
一方のデメリットは、成形性に限界があります。
また、切削による部材のロスなどもあります。
小高
鋳造の場合は?
大出
メリットとしては、成形性の自由度が高まります。
このことで、自動車の設計にも自由度が高まります。
一方のデメリットとしては、高度な技術が要求されることです。
小高
今では、鋳造したものをX線検査なしで出荷している、ということですが、納入先からの抵抗は無かったのですか?
大出
開発段階から逐次、報告をし、また、現場にも来ていただき、実際に見ていただきました。
この仕組みの導入は2015年からです。
小高
これによって、出荷までのリードタイムは変化しましたか?
大出
ものにもよりますが、たとえば従前の検査込みの場合を5日とした場合、3日から4日になります。
小高
すると、20%~40%の工程短縮になりますね。
大出
そうですね。
~次回に続く~