特別企画セッションコーディネータインタビューその2|ツールを決める前にやるべきこととは?
2016ものづくり総合大会の特別企画セッションコーディネータ 日本能率協会コンサルティング シニア・コンサルタントの石山真実氏にお話を伺いました。(以下敬称略)
ツールを決める前にやるべきこととは?
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IoT、AIの導入目的を設定するところは、苦労した末に、三菱電機、富士ゼロックス、オムロン、3社ともに良い商品を作っているのだろうと思います。
石山
AIやITの技術はどんどん進んでいますから、多くの人が良いものができそうだというところまできています。
その良いものというのが一般にかなりもやっとしているのですが、三菱電機、富士ゼロックス、オムロンの3社はできることをはっきりと打ち出していました。
逆にいうと相当なことが実現可能な時代になっているわけです。
だから、ITを使ってとか、AIを使って何かをしようという方向から入るのではなく、うちはどんなことをできるようになりたいのかを先にまとめてもいいような気がします。
今まで「こうなりたい」と願っても「それは無理だ」という結論にならざるを得なかったことが、実現できる世の中になったのです。
だから、これからはIoT、AIから入るのではなく、プロセスをどうする、プロダクトをどうしたい、ビジネスモデルをどうするという議論から始め、それを実現するためにITやIoT、AIをどう組み合わせれば良いのか、考えるべきなのかもしれません。
従来の人がマイクロソフトオフィスを使ってやっていた時代とは、ビッグデータの活用をはじめ格段に違うことができるようになっています。
以前は大変だったことが、瞬時にできる時代が来たのです。
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確かにすごいことができる時代になったことは間違いないでしょうが、実際に何ができるのか、分かっていないところもありますよね。
石山
そうですね、まだ分かっていないうえ、すごいことが何かも自分たちでつかめていませんね。
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対外的にももう少し整理しなければいけないでしょうし、対外的な情報もまだ把握しきれていないということですね。
石山
コマツのビジネスモデルでドローンを使い、地形を測定するものがあるでしょう。
あれはドローンが何に使えるかを考えて始まったものではありません。
自分たちが売った建設機械が何をしているのかを考えた結果、始まったことではないでしょうか。建設機械は測量結果を基に作業しています。
そこから測量をもっと簡単にするなら、人工衛星から写真を撮影し、立体図を作成すればいいのではないかという発想は、すぐに思いつきます。
今は逆に人工衛星でできなくても、ドローンならできると考えることもできるはずです。
やりたいことを具体化することが、とても重要になります。
その辺りがビジネスとしてまだ思考している会社は多いでしょう。
そこがはっきりしている状態で今日の話を聞いていれば、「うちでやろうとしていることは上手く使えそうだ」とか「三菱電機がうちと同じことを目標にしているようだ」などと感じられるのではないですか。
だから、はっきりしないまま聞いていると、様々なツールがあってそれを使った事例があることまでしか理解できません。
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「どんなツールがおすすめですか」という質問に対し、「結局、何をしたいのかによる」という回答が出ていました。
この質疑が記憶に残りました。
石山
そこが重要なところです。良い答えをしてくれました。
まさにその通りなのです。
おすすめのツール、コストパフォーマンスがいいからといって、導入するようなものではないはずです。
何をしたいかによって、導入するツールも大きく変わってきます。
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