川崎重工業インタビューその3|企業事例の活用方法とは?
2015ものづくり総合大会の参加者 川崎重工業モーターサイクル&エンジンカンパニー サプライチェーン本部 生産技術部 部長 田畑穣氏にお話を伺いました。日本能率協会の成冨一仁がインタビューします。(以下敬称略)
企業事例の活用方法とは?
成富
ものづくり総合大会に参加されたあとの情報の活用方法はどのようにされていますか。
田畑
何が学びになったのかということの確認をしなければなりませんよね。
そしてその学びを意識して業務にあたっているかどうかの確認をしないといけませんね。
意識して業務にあたることは簡単ではありません。
現状ではまだまだ技術や具体的な取り組み事例の話を聞いてきて、「これは使えそうだ」とか「この辺はうちに関係ない」とかいう報告が多いのです。
例えば、海外のエンジニアを育てる講演だと、「海外の人は日本人のように気を利かして何かすることはない」とか「言ったことはしっかりやるけど、いっていないことはやろうとしない」、「その辺は地道にコツコツ教えるしかない」という話が講演で出るでしょう。
その話が当社の海外拠点と似た環境なら、「こういうテクニックが使える」という報告が上がってきますが、逆にそこから何を学んだのかはピンとこないことが多いのです。
この例であれば「目的や、やるべき理由をきちんと伝え、理解・納得させることが重要」ということが学びかもしれません。
つまり講演内容を一度普遍化して次に活かせるようにしなければならないのです。
いろいろな経験をした人が聞けば、講演の裏側に隠されたている「頑張った部分」や「問題解決の方程式」みたいなものを感じることができると思います。
そこで最後にファシリテーターが、その事例の肝になる部分がどこにあるかを引っ張り出してくれるかどうかがより重要になってくると思います。
成富
講演の肝についてはどのように導きだしているのでしょうか。
田畑
講演では毎回1つや2つの質問はさせてもらっています。
たくさんの人が講演を聴いているので、その方たちのためにも質問が必要だと思っています。
本来は社内の複数の方と講演を聴きに行って、この講演の肝となる部分がどこにあるかを議論すべきだと思います。
私も副部長や課長クラスと一緒に講演を聞き、何を感じたか、何か考えが変わったかを聴講した日の晩にみんなで復習したこともあります。
キーワードは「要するに学びは何だったか?」です。
また大会全体について触れれば、プログラムに選ばれているテーマも今の時代に合っていると思います。
だから、いつもどれも聴きたいと思ってもいます。
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