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ものづくり 日本の心

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。
発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

「日本のものづくりは、世界の財産である」(86)|第七章 日本人の創造性と独創性 〜ものづくりを育てた肥沃な土壌〜

 こうして見てみると、明治時代の初期に、西洋の合理性や科学技術・工学に大きく差をつけられた状態で国を開いた日本が、「独創性はないが、見事に仕上げる巧みさがある」という素養をベースにものづくり大国に成長できた理由が、なんとなく見えてきます。

封建制度で遅れていたと思われる江戸時代が、実は、開国しても対応できるように庶民の識字率を高め、学習意欲を向上させていた、つまりは肥沃な土壌をしっかりと培養していた時代であったということに気付きます。

 一般的に私たちが理解している江戸時代は、一部の為政者を除いて、領民に「知らしむべからず、寄らしむべし」という立場をとっていたように教えられてきました。
建前上は、学んで知恵をつけることは、権利の主張につながりますから、領主が喜ぶわけではないし、領民が知恵をつけて啓蒙されていくことに、むしろ反対の立場をとってきたようですが、しかし、実情は、必ずしもそうではなかったということです。

武士が支配する社会で、農工商の子供たちが、識字率世界一と言われるような密度で教育を受ける仕組みを、政策的に作り上げてきたとすれば、これは見事な政策と言わざるを得ませんが、実際には、庶民からの発想で、自然発生的に寺の僧や、あるいは職を失った浪人などによって教育が行われてきたというのが、実情でしょう。
必ずしも庶民に有利な環境がつくられていたわけではない中で、何とか自らに良いような状況を作り出していくというあり方は、与えられた状況の中で、しぶとく生き、楽しんでいく、日本人の生き方の特徴を示しているのではないかと思います。

寺子屋という機会を利用して、庶民がいわばボトムアップ的に生活に学びを取り入れていったわけですが、その根底には、向上心、好奇心があったはずです。
しかも、農家の子弟が学ぶことで経済的な利益を得るわけではありません。江戸時代から、学ぶことを通して自身を向上させる、そんな指向を持っていたとすれば、たぶん、世界的に見ても、あまり例がない、特異な存在ではないかと思います。町では塾やカルチャーセンターが花盛りです。

日本人は、世界的にも珍しい、学ぶことを楽しむ人種と言っていいと思います。
生涯教育というのは、1965年にユネスコが提案した新しい概念です。しかしそれ以前から、日本では伝統的に、生涯にわたって人格を磨き、教養を高めることが人生を豊かにするという考え方がありました。

好奇心と向上心、たゆまない努力、そうしたことによって、高度なものづくりを生み出す基盤が江戸時代から私たちの中に育まれていたといえるのではないかと思います。

梶文彦 写真

梶文彦氏執筆による、コラム「ものづくり 日本の心」です。

梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています。

写真撮影:谷口弘幸


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