新誠一氏インタビューその2|ツールチェーンの国際標準とは?
2015ものづくり総合大会の企画委員長 電気通信大学の新誠一氏を訪問しました。日本能率協会の安部武一郎がインタビューします。(以下敬称略)
旗振りが上手なヨーロッパと日本の違いとは?
安部
ヨーロッパで旗振りをしているドイツにおいても、技術の進化からの自然な流れとして、インダストリー4.0のような世界観が見えているということなのでしょうか?
新氏
ここでなかなか面白いことは、日本は目先の技術開発に優れているということです。
今言った生産システムも世界で一番だと思いますし、ITの使い方についても世界一だと思うのですが、中長期的な旗振りが苦手なのですね。
ヨーロッパの人達はそれがすごく上手くて、「なんでドイツからそんなこと言われなきゃいけないのだ?」と、「日本はこれまでやってきたのにお株を奪われなきゃいけないんだ?」と思ったりするわけです 笑。日本でも以前から、そのような話はしていたのですよ。
だけど、ヨーロッパが言うとみんながそこに注目するという、ちょっと舶来嗜好的なところがあると思うのです 笑。
舶来嗜好でもいいと思うのだけど、それで、日本が右往左往してしまったら情けないですよね。
ツールチェーンの国際標準とは?
安部
実業界からは、その動きをみて何かしらのデファクトスタンダードを握られてしまうのではないか、という懸念は出てきています。
新氏
EUというのは、複数の国の利害調整が上手いなと思います。
IECやISOは生産に関係が深いものですが、EU標準になるとそれだけで国際標準になってしまう傾向にありますから、日本としては標準化を戦略的に進めなければいけない。
これまでの日本の20世紀の戦略というのは、ヨーロッパにつくかアメリカにつくか、だったんですね。
ところがご承知のように日本の企業もASEAN、中国などに進出し、そういった地域も非常にものづくりに関して発達し発言権が出てきている。
そうすると、今はヨーロッパ、アジア、アメリカこの3極で標準化が動きはじめている。
日本としては、ASEAN諸国と一緒になって標準を作っていく意識が非常に大事になってくるでしょう。
それから、もうひとつ大きなポイントとして、地の利におけるCADというお話について、これが実質的にヨーロッパに主導権を握られている。
日本も結構良い商品をつくっているのですが、みんなが国内で競い合い、言い合っており、国としてまとまっていないのです。
ITを活用したものづくりのツールは、1つでなくてツールチェーンになっていくべきなのですが、今後、生産と設計も含めたツール整備についても考えていくべきです。
単なる標準だけの話ではないと思っています。
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2015ものづくり総合大会で関連する講演は・・・
ダイキン工業「ダイキンのものづくりとグローバル展開」
トヨタ自動車「トヨタの目指すモノづくり・人づくり」
日産自動車「日産のグローバルモノづくり戦略」
2月19日(木)14:50~16:30
B-3 経済産業省
ものづくり政策審議室長 西垣 淳子
2月19日(木)10:00~16:30 生産分野E:「 たゆまぬ生産技術力強化」
2月19日(木)10:00~16:30
資生堂
味の素
日本ヒューレット・パッカード
2月20日(金)10:00~16:30
MEマネジメントサービス
キユーピー
NEC